
アルザス・ワイン街道というのは、南はオ・ラン(高地ライン)県のThann(タン)付近から北はバ・ラン(低地ライン)県のObernai(オーベルナイ)
付近までのアルザス平原の西側にあるボージュ山脈の東斜面の葡萄畑の中を直線にして約50Kmをうねうねと縫う道で、特に一本の国道(N)や地方道(D)の事を
言っているわけではない。
葡萄は地味を選ぶので、葡萄畑は人工の造成地のようにきれいに並んではおらず、山の中腹・麓・時には平地に複雑な形に広がっている。
ワイン村はその左右に広がると言いたいが、北に向かって走るときは殆ど全部左側すなわち山側に点在する。ワイン村の農家の殆どは直売もやっており、味見も出来る。
アルザスワインは比較的若い内に飲むので値段もお手ごろ、直売所で1本7〜8ユーロくらいでかなりの上物が手に入る。

『アルザスの真珠』リクヴィールは南北約50Kmのアルザスワイン街道の半ばにある。ワイン街道沿いの葡萄畑の中でも
この付近は特に上等のワインが取れる地味で、他の地域ではボージュに貼り付いている葡萄畑が平地にも伸びている。
葡萄は特にリースリングが素晴らしいとされており、昔からリクヴィールを支配して、
ここのリースリングを我が物とすることはステータスであったという。
今、リクヴィールの村を領有するのは無理としても、17世紀の建物が第一次大戦、第二次大戦とも戦場となったアルザスにあって奇跡のように生き残り、
訪れるだけでも素晴らしい村である。ただし、常にごった返しており、駐車難である。
基本人口約1000人の村にはミシュランの星付きレストランが二軒あり、ホテルもあるので宿泊して朝夕の静寂を味合うのも一興である。



この景色は上に掲げた村の入り口での写真のRIQUEWIHRの看板の右側、黄葉の斜面上部途中の数本の木が見える辺りからのものである。
観光のプチ・トランも此処に登っての眺望を売り物にしているが、目の下の城壁に囲まれたリクヴィールの村と、 見渡す限りが葡萄畑で、特に秋の風景が素晴らしい。
秋のワイン村観光の楽しみはヴァン・ヌーボーという薄茶緑に濁ってぶくぶく泡が出ている薄甘いワインのどぶろくの試飲で、
コップ一杯100円くらいで楽しめるが、地元民曰く飲みすぎるとお腹を壊す、という代物である。この季節にワイン村の現場で無いと飲めない。
ヴァン・ヌーボーは密栓すると開栓の時爆発する。ミネラル水の空き瓶などで買って密栓して帰ったら風呂場で裸になってシャワーカーテンを引いて
栓を開ける。食事のテーブルで開けたりすると大変な事になる。大袈裟でなく、テーブル上のみならず、天井を含む部屋全体、そこにいる
全員の人体と衣服全てに、後の収拾に一時間はかかる惨状を呈する。
アルザスのワイン祭りは夏の終わりの収穫前に良いワインが出来ますように、という祈りの祭りであって、秋の感謝祭ではないので秋にはお祭りは無い。


コルマールのほぼ真西にある村で、夜警のパフォーマンスで有名であり、こうのとりの保護センターがある。こうのとりはアルザスのシンボルで、
一寸不気味なぬいぐるみを、どこの土産物屋でも売っている。しかし、いつでもどこでも本物を見られるというものではないが、ここの保護センターに来れば
何時でも見る事が出来る。
村を北に向かって通り抜けて斜面にかかると見事な葡萄畑が広がり、遠景にコルマールの町が見える。
この景色を見ながら北に向かうと、1980年代のフジテレビの連続ドラマ『アルザスの青い空』の舞台となったNiedermorschwihr=ニーダーモッシュヴィールに出る。



この写真は6月の風景
『アルザスの青い空』は長期のアルザスロケで撮影されたドラマで、都会;デュッセルドルフ=悪、田舎;ニーダーモッシュヴィール=善として描かれる
『アルプスの少女ハイジ』風の判りやすい展開で、アルザスの風景がふんだんに出てきた。当然ビデオ全巻が勤務先会社の備品として置いてあった。
尤も地元の様子を知っていて見ると「そうじゃないだろう」という突込み所満載である事は言うまでもない。
村の真ん中にある雑貨屋風の食料品店 Maison Ferber=メゾン フェルベールは、フランス中に(そして日本にも)名を轟かすジャム屋さんである。
この教会の尖塔は屋根がソフトクリームのようにねじれているのが可愛い。



コルマールの南隣の村で、勤務先の会社の地番でもあった。郵便番号68920のれっきとしたフランスはアルザス州高地ライン県の村である。
会社名にFranceと入っているにもかかわらず、Wettolsheimという響きにつられてか、
会社宛の郵便物宛名にわざわざGermany、などと書く輩がヨーロッパにも居た。これを書かれると届くのが数日遅れになった気がする。

ヴェットルスハイムの方向からコルマールに入る所にある看板。コルマールがアルザスワインの首都とは知らなんだ。
現在でもコルマールの観光スポットの一つになってる『メゾン・ド・テット』はワイン醸造業者のギルドの建物であったそうで、その昔からの隆盛を
偲ぶ事ができるが、コルマールの看板の項にも書いたように、現在のコルマール・センターにはワイン専門店というのは数軒しかなく、
その規模も決して大きなものではない。
アルザス・ワインを含めて日本円で1本10,000円位から紙パック入り1リットル500円位までであるならば、ワイン選択幅は、
郊外の巨大スーパーでワイン売り場の方が広い。何を選ぶかについて
は、ちゃんとソムリエバッジを付けた店員が応対してくれる。しかし、ボルドーやブルゴーニュの銘酒がお望みなら勿論専門店の方がよろしい。
アルザスワインは原料の葡萄の品種で分けられ、少なくともガラス壜入りのワインは以下の7種類である。
Riesling(リースリング);代表銘柄。ドイツのリースリングより辛口で酒飲みの支持が高い。
Gewuerztraminer(ゲベルツトラミネー);通好みの香り高いワイン、名産のフォアグラと合うとされている。
Musca(ムスカ);マスカット種のワイン。その名の通りマスカットの香りがする。食前酒として愛好される。
Phinot Gris(ピノグリ);ハンガリー原産のトーカイ種のワイン。濃い独特の味で好みは分かれる。
メインディッシュの赤ワインの位置や、チーズ界の悪漢マンステール・チーズの相手を勤めるワインである。
以上4品種が上物で、年代やどこの畑の葡萄を使ったかなどを考慮した高級品もある。
Phinot Noir(ピノノア);アルザス唯一の赤、ロゼに毛が生えた程度の軽い赤で冷やして飲むと美味い。
通人は低地ラインのOttrott村産のみをアルザスのピノノアとして認めるという。
Phinot Blanc(ピノブロン);一段下と見られる大衆ワインであると思うが、日本では結構幅を利かせていて驚いた。
Sylvaner(シルヴァナー);これも大衆ワインであると思う。

