ヨーロッパには梅雨が無いので、初夏の訪れを告げるマロニエはヨーロッパの黄金の季節の訪れを告げる花でもある。
マロニエはフランス、もっと言うとパリの象徴の様に思われている木であるが、巨木であり、葉っぱも花も非常に特徴があるのであればすぐ判ることもあって、
イタリアからノルウェーからスイスの高原までヨーロッパ一円で見かける木である。ただし、見かけるのはすべて街路樹や公園の樹木としてで、野生と思われる
マロニエを見た事はない。
もっとも日本の近隣種である『橡ノ木』にしても野生の大木を見る機会は余程の山村に行かないと叶わない。



マロニエの落葉は、ある日突然始まり、落ち始めると一気で2日くらいで裸木になってしまう。これだけの大きさと量の葉がバラバラと落ちるのであるからそれは壮観であり、 木の根元や下は大変な事になる。 マロニエの実の方は、葉が落ちる前にばらばらと言う感じに落ちてくる。大きな栗くらいあるので危ないと言えば危ない。拾っている人も見かけたが 食べようと言うのではないようであった。もっとも木曽や飛騨の橡の実食地域での橡の実を食べるための前処理の手間は膨大で、 橡の木と近縁のマロニエの実も、食べられるようにするには同様の前処理を必要としそうであるから、アルザス人はあんなに面倒な事をして食べようとは思わないであろう。

趣味の磁器絵付けの道具を広げたり、使わない荷物や本類を置くために同じアパートのワンフロア下にステュディオ(トイレ/シャワー/ベッドルームだけの部屋)を借りていたが
この部屋の窓からの『家のマロニエ』もなかなかであった。
ステュディオに居ると中庭をテリトリーとしていた4〜5匹の猫が縄張り管理の一環として外から覗き込みに来た。


左写真;アパートの隣の家は文化財級の木造建築で、素晴らしいアルザス風バルコニーがあった。
右写真;裁判所裏のマロニエの大木とアパートがあった通り、Avenur de la Marne。
右奥の白い建物が当時住んでいたアパート。

ナポレオンの副官の一人であったコルマール出身のラップ将軍の銅像があり、名前を冠したラップ公園脇の通りには
赤花のマロニエの並木があった。
赤花のマロニエは白花に比べると圧倒的に少なかったが稀少種と言うほどの存在ではなかった。
赤花のマロニエには巨木はなかったし、花穂そのものも花穂当たりの花数も少なめでばらばら、巨大でのびのびとした樹勢、
きれいに方向がそろった大きな花穂、などのマロニエの魅力は白花である。